産科医療補償制度の分析結果、TOLACによる子宮破裂で脳性マヒ

4月14日、出産時に赤ちゃんが重い脳性マヒになった際の産科医療補償制度で、

日本医療機能評価機構は、昨年末までに本制度の対象となった319件の事例を分析

し、「脳性麻痺発症の主たる原因」が明らかであった事例は233件(73.0%)であり、

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これらのうち単一の原因の事例が177件であり、常位胎盤早期剥離が74件、

臍帯因子が49件(臍帯脱出15件、その他の臍帯因子34件)、子宮破裂が10件、

子宮内感染が8件、胎児母体間輸血症候群が9件などであったと発表した。

子宮破裂については、特に多くの文面が割かれており、経産婦で帝王切開経験者の

TOLAC希望には注意が必要であることが書かれている。

 

TOLACとは帝王切開術既往妊産婦の経腟分娩のことである。

TOLACを希望して子宮破裂を起こした事例を抜粋、下記に引用した。

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1回経産、TOLAC中の分娩第Ⅰ期に子宮破裂を発症した事例
〈事例の概要〉

 1回経産婦。妊産婦はTOLAC(帝王切開術既往妊産婦の経腟分娩)希望があり、書
面によるインフォームドコンセントを得たうえで、TOLACが選択された。妊娠39週、
妊産婦は下腹部の周期的な痛みを自覚し入院となった。超音波断層法により、子宮下部
筋層、胎盤、羊水量が確認され、胎児心拍数陣痛図で陣痛発来が認められ、分娩に携わ
る院内各部署に連絡がなされた。妊娠40週、妊産婦が腹部上部の圧迫感を自覚したとほ
ぼ同時に突然の回復しない遷延徐脈が出現し、胎児心拍数を確認できる部位が上方へ移
動したことから子宮破裂が疑われ、緊急帝王切開術で子宮外に脱出している児(体重は
3000g台)を娩出した。1分後にほとんど剥離していたと思われる胎盤を娩出した。子
宮の破裂創は前回帝王切開術時の創部であった。胎盤病理組織学検査は行われなかった。

〈脳性麻痺発症の原因〉
 本事例における脳性麻痺発症の原因は、TOLAC中に発生した子宮破裂による胎児低
酸素・酸血症、およびそれに起因する低酸素性虚血性脳症と考えられる。子宮破裂は早
発一過性徐脈の出現以後から徐々に進行していたとも考えられるが、過強陣痛はなく、
早発一過性徐脈の出現も反復性に乏しく可能性は低いため、遷延徐脈の出現時に子宮破
裂に伴う胎児脱出、胎盤剥離が起こったものと推測される。

〈臨床経過に関する医学的評価〉
 妊娠経過中の管理は、TOLACを取り扱う分娩機関として適確である。また、
TOLACの希望がある妊産婦に対して、書面によるインフォームドコンセントを得たう
えで、TOLACを選択したことは一般的である。分娩経過において、超音波断層法を行っ
たこと、分娩監視装置の装着を継続することとしたこと、妊産婦へ説明したこと、院
内各部署へ連絡したことはTOLAC実施中の分娩管理として医学的妥当性がある。

分娩
子宮破裂について進行が緩やかで経過観察可能と判断し、40分間分娩監視装置
をはずしたことは一般的
でない。妊産婦の疲労感が出現し、微弱陣痛、遷延分娩の可能性があり、経過観察を

行ったことは選択肢の一つである。遷延徐脈に対して、子宮破裂の診断と帝王切開術決
定等の対応は一般的である。TOLACを取り扱う産科施設としては、ダブルセットアッ
プの状況下において、帝王切開術決定から開始までの所要時間が30分であったことは、
「一般的である」という意見と「時間が掛かり過ぎ」という意見の両論がある。緊急時
の脊髄くも膜下麻酔法は選択肢としてありうる。

〈今後の産科医療向上のために検討すべき事項(分娩機関に対して)〉
 帝王切開術既往妊産婦が経腟分娩を希望した場合の対応について、分娩進行が緩やか
で経過観察可能と判断し、分娩監視装置が40分間はずされた。「産婦人科診療ガイドラ
イン-産科編2008」の「帝王切開術既往妊婦が経腟分娩を希望した場合は?」によると、
経腟分娩選択中は分娩監視装置による胎児心拍数モニターを行うことが強く勧められて
いる。今後はガイドラインに則った対応が望まれる。
 妊産婦のTOLACの希望を受け入れる施設としては、TOLAC中の緊急帝王切開術手
術への対応、および新生児蘇生に関して、現在の標準を維持しつつ、さらに短時間に児
を娩出できるように努力を継続することが望まれる。本事例に関して院内カンファレン
スが実施されており、再発防止のため分娩室で帝王切開術が行えるように改装が行われ
ているが、例えば、事前の帝王切開術同意書、輸血同意書等の取得、手術室のスタンバイ
(スタッフも含め)、休日夜間診療体制の改善等を検討することが望まれる。

〈今後の産科医療向上のために検討すべき事項(学会・職能団体に対して)〉
 TOLACを取り扱う施設においては、帝王切開術がすぐに行える体制、および新生児
蘇生ができる体制を整える必要があることを周知徹底することが望まれる。また、医師
の勤務人数、帝王切開術の体制、新生児蘇生の体制等、TOLACを取り扱う施設の現状
把握のための実態調査を行うことが望まれる。

第4回産科補償制度再発防止に関する報告書より抜粋引用

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これを読んで思うことは、命を産み出すという出産は簡単なものではないので、

TOLACなどを希望する場合は設備の整った医院を選ぶことも大事だと思う。

万が一のときには帝王切開術にすぐに切り替えられる体制を持った医院を選ぶことは、

産む側として努力できる部分ではないかと思う。

 

 

    

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